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イサム・ノグチ AKARI 1N レビュー|2万円台で買える名作提灯。1Aとの違い・リプロダクトの見分け方・正直な弱点

イサム・ノグチ AKARI 1N レビュー|2万円台で買える名作提灯。1Aとの違い・リプロダクトの見分け方・正直な弱点

📝 この記事でわかること

  • AKARI 1Nと1Aの形状の違いと選び方
  • おすすめの置き方や置き場所とその効果
  • 和紙シェードの耐久性など正直な弱点
  • 正規品とリプロダクト(模倣品)の見分け方
  • HAY・IKEAのペーパーシェードとの質感の違い

🙋 この記事がおすすめの人

  • 手に入りやすい価格で名作照明を導入したい人
  • 「ジャパンディ」スタイルが好きな人
  • 日本の伝統技術を暮らしのなかで身近に感じたい人

私がAKARI (アカリ)を買ったのは、2024年のことでした。インテリアに興味を持ち始めて、初めて手元に来たデザイナー家具です。部屋の雰囲気を良くしたくて色々と漁っているうちに、「多灯照明が良いらしい」という話に行き当たりました。

一口に照明といっても、その役割はさまざまです。天井から全体を均等に照らすシーリングライト、見せたい一点だけを照らすスポットライト。同じフロアライトでも、直下だけを照らすものもあれば、シェードを透かした光がふんわり広がって空間の演出に一役買うものもあります。適切な場所に適切なものを適切な用途で置く——それだけで部屋の印象が変わる、という話です。

購入までの経緯から、兄弟モデル1Aとの違い、正直な短所、そして北欧ブランドとの質感の違いまで、書いていきたいと思います。

AKARI 1N
AKARI 1N

イサムノグチ AKARI 1N

イサムノグチ AKARI 1N

そもそもAKARIとは——ジャパンディを象徴する「光の彫刻」

北欧には「ヒュッゲ」という、心地よい時間や空間を大切にする概念があります。これを実現するため、あちらでは長年培われたノウハウが照明の配置や役割分担に注がれているようです。この話はルイスポールセンのパンテラを紹介した記事でも触れました。

また、インテリアのスタイルに「ジャパンディ」というものがあります。「Japanese(日本の)」と「Scandinavian(北欧の)」を組み合わせた造語で、日本の「侘び寂び」と北欧の「ヒュッゲ」を掛け合わせたスタイル、とでも言うべきものでしょうか。今回紹介するAKARIは、このジャパンディの代表的なアイコンの一つとして、Instagramなどでも頻繁に目に入ります。和室はもちろん、洋室にもかなりの頻度で置かれていて、海外の方の投稿も多いようでした。

実はジャパンディという言葉ができたのは比較的最近です。一方でAKARIは、1951年にイサム・ノグチがデザインした照明。岐阜提灯の技術を現代的に再解釈した「光の彫刻」で、岐阜県のオゼキ株式会社が現在に至るまで作り続けています。概念としてはジャパンディの方が後発なのに、そのアイコンとしてより古くからあるAKARIが挙げられる——なんだか面白いですよね。

和紙の質感と黒金属の骨格
和紙の質感と黒金属の骨格

イサム・ノグチという人——光の彫刻が生まれた背景

イサム・ノグチは日系アメリカ人です。1904年、日本人の父とアメリカ人の母のあいだにロサンゼルスで生まれ、アメリカで育ちました。父は詩人の野口米次郎。その生涯で数々の建築や家具をデザインし、日本にも北海道のモエレ沼公園をはじめ、多くの作品を残しています。

その名作の一つがAKARIシリーズです。大きなものから小さなものまでバリエーションは実に豊富で、形も色々ありますが、私の買った1Nや1Aあたりが最もベーシックなモデルでしょう。巨匠の手による名作照明が、後述するように2万円台から手に入る。これは結構すごいことなのではないでしょうか。

私が選んだ1N——1Aとの違いと「むしろ安いのでは」という自己暗示

兎にも角にも何らかのオシャレ家具デビューをしたかった私が、まず目をつけたのはルイスポールセンのパンテラでした。しかし当時のインテリア初心者にとって、5万円はハードルが高かったのです(その後、AKARIを手に入れて勢いづいた私は程なくして値上げに追い詰められてLE KLINTを購入する事態に陥るわけですがそれはまた別の話)。そんな折に気づいたのが、SNSで頻繁に見かけるあの提灯でした。

巨匠がデザインした名作が2万円台から。そう考えると、むしろ安いのではないかという自己暗示とともに、私はデザイナー家具デビューを果たしたのでした。値段への怯みを、自分で自分に言い聞かせて越えたわけですね。

私が選んだのは1Nというモデルです。左右対称でオーソドックスな提灯に近い1Aに対して、1Nはより疎な竹籤(たけひご)で組まれています。歪んだ卵形とも、なんとなく米粒を思わせるとも言える、絶妙に歪な形をしているのが特徴です。個人的には、この不揃いさゆえに、より有機的に感じられます。

AKARIは世界的に人気で、正規品は常に品薄です。私も楽天市場で、入荷のタイミングを狙って何とかゲットしました。

電球をスマート化して使っています(詳しくは別記事で)

AKARIには電球が付属します。ただ私は、これをPhilips Hueのスマート電球に差し替えて使っています。名作照明のシェードはそのままに、明るさや色みをスマホや声で操作できるようにした形です。夜、低めの輝度でぼんやり灯すのが好きなので、この調光との相性は抜群と言えます。

実はこのHue化、AKARIと相性が良い理由がもう一つあります——提灯の中は、かつて火でした。その灯りの"揺らぎ"まで再現する使い方があるのです。AKARI 1NをPhilips Hueでスマート化した話は、別記事にまとめました。スマート照明に興味のある方は、そちらをのぞいてみてください。

使ってみて——組み立ての緊張と、光の彫刻としての魅力

届いてまず待っているのが組み立てです。シェードと金属製の足、電球ソケットのユニットを組み合わせる作業自体は簡単なのですが、一人だと意外と難渋します。なにしろシェードが和紙ゆえ、「破ったらどうしよう」という恐怖のなかで手を動かすことになるのです。

魅力は何といっても、その「光の彫刻」としての存在感です。卵とも米粒とも言える有機的なかたちを、和紙を通した光がやわらかく満たす。この光の拡散がとても美しく、部屋の演出性がぐっと高まります。

使う電球のW数によっては強い光源にもなりますが、私のおすすめは低〜中程度の輝度です。壁際に置いてふんわりと灯すと、光の彫刻としての姿を楽しめるうえに、壁への反射光が生まれます。空間の奥行きというか、部屋をより広く感じさせる効果も期待できるのです。煌々と照らすより、この控えめな灯し方の方が、AKARIの本領だと感じています。

陰の主役——細く黒い、金属の足

ここまで和紙のシェードばかり褒めてきましたが、私がひそかに気に入っているのは、実は足の方です。AKARIはモデルによって形が様々ですが、だいたい3〜4本の細い足で本体を支えています。その先端に付いているのが、シリコン製のしっかりした滑り止め。この丸いのが何とも可愛いのです。滑り止めという機能を果たしながら、見た目まで愛嬌がある。地味にGoodなポイントだと思っています。

この丸い足がかわいい
この丸い足がかわいい

普通に置く分には結構安定していて、多少の揺れは問題ありません。ただ、横なぎに力が加わると、少し不安を感じるのも正直なところです。細い足ゆえの心もとなさ、とでも言いましょうか。

あまり注目されない部分ですが、この足こそ、AKARIフロアランプシリーズを特異な存在にしている「陰の役者」なのではないか——というのが、私の見立てです。少し説明させてください。

そもそも元来の日本の提灯といえば、足がないか(地べたに直置きするタイプ)、あっても太めの木製の足、という印象があります。ところがAKARIは、細くて黒い金属の足が、ひょろひょろっと生えている。これが何とも有機的で、不思議な生き物のように見えるのです。ジブリの映画の背景に、ふっと映り込む小動物——そう思うのは私だけでしょうか。ただの提灯にとどまらない魅力は、この足から来ている気がしています。

提灯とひょっこり生える足 走り出しそうな雰囲気
提灯とひょっこり生える足
走り出しそうな雰囲気

足が「黒」であることにも、意味があると思っています。黒いおかげで、和紙の柔らかな印象がぼやけず、全体がほんの少し引き締まる。無垢の金属色でも白でもなく、黒だからこそ成立するバランスです。黒ベースの部屋には黒い足が、白ベースの部屋にはシェードの白(正しくはやや褐色ですが)が共通項になって、どちらの部屋にもすっと馴染んでくれます。

機能の面でも、この黒い足と骨格はしっかり働いています。AKARIは折りたたまれた状態で届くのですが、その和紙のシェードを伸びた形に保つ「骨格」の役割を、足とフレームが担っているのです。おそらく木ではなく金属だからこそ、あの軽さも実現できているのでしょう。見た目の愛嬌と構造の要を、一本の細い足が兼ねている。

ここからは完全な余談です。インテリアをきちんと勉強したわけではない素人の考察なので、読み飛ばしてもらってもかまいません。イサム・ノグチが活躍したのは、ミッドセンチュリーと呼ばれる時代(1945年から1965年ごろ)でした。この頃、金属加工の技術が進んで、家具の脚を細く作れるようになったそうです。セブンチェアやダイヤモンドチェアのように、金属の細い足を持つスタイリッシュな名作が次々に生まれたのも、ちょうどこの時代でした。AKARIに宿るミッドセンチュリーの遺伝子は、案外この足なのかもしれない——そんなことを、灯りを眺めながら思っています。

正直なデメリット——耐久性・品薄・リプロダクトの見分け方

和紙の耐久性(約10年)とシェードの個別販売

気になる点は、まず耐久性です。やはり紙なので寿命は有限で、10年ほどで劣化し、少しの衝撃で破れてしまったという体験談を読んだことがあります。ここは和紙の質感、そして和紙ゆえのお手頃価格とのトレードオフでしょう。案ずるなかれ、公式でシェードのみの個別販売もあります。もっとも、こちらも相応に品薄ではあるのですが…。

正規品の品薄と、リプロダクトの見分け方

正規品が品薄というのも、手に入れる際のデメリットと言えます。厄介なのは、リプロダクト(意匠権や特許の保護期間が切れたデザインを、別のメーカーが復刻・再生産した製品。要はコピー製品)がかなり大量に出回っていることです。

リプロダクトはピンキリで、本物のような和紙の質感が絶妙に出ていなかったり、足が太かったり、形が少し違ったりと色々あるようです。見分け方はロゴ。正規品の和紙には、赤いAKARIのマークと黒いI.Noguchiの署名が入っています。ここを確認するのが、いちばん確実です。

公式ロゴが本物の証
公式ロゴが本物の証

倒れる・破れるリスクと、向かない置き場所

置き場所については、正直に注意を促しておきたい点があります。床に直置きする場合、ペットや小さなお子さんのいる家庭には、あまりおすすめできません。シェードが和紙ゆえ、ぶつかれば破れるリスクが高いからです。加えてAKARIはとても軽いので、子どもやペットの小さな力でも、木製・金属製の照明に比べてどうしても倒れやすい。先ほど足の細さの話をしましたが、その心もとなさが、ここでは弱点として出てきます。

毎日お掃除ロボットが床を駆け回る家も、同じ理由で直置きは考えものです。ぶつかられて倒れる、という事故が起きかねません。

とはいえ、打つ手はあります。お掃除ロボットについては、最近の機種ならマッピングで侵入禁止エリアを設定できるので、対応する機種を使っていれば問題ありません。私自身は、照明をUSMハラーの上にちょこんと載せて回避しています。少し贅沢な置き方かもしれませんが、棚の上に逃がしてしまえば、ロボットも子どもの手も届かなくなります。

小さなお子さんやペットがいて、しかもお掃除ロボットが侵入禁止エリアに対応していない——そんな場合でも、棚の上に置く運用にすればひとまず解決します。私がUSMハラーに載せているのと、同じ発想です。ただし、猫さんがおられる場合に限っては、その限りではありませんが……。

HAY・IKEAのペーパーシェードとの違い

この提灯タイプの照明のトレンドは、北欧のブランドでも見られます。フロアランプこそありませんが、ペンダントライトならHAYやIKEAにもペーパーシェードの製品があります。

並べてみると、AKARIはより黄色みが強いというか、和紙らしい質感の高さを感じます。HAYのものは少し白っぽく、淡白な味わい。AKARIと比べると和風テイストは控えめで、洋風のすっきりした印象がほんの少し強めです。サイズ展開はAKARI同様、比較的豊富です。

IKEAは、細部の質感や仕上げこそAKARIに劣りますが、強烈な安さが魅力です。私もお試し感覚で買って持っています。ただ、サイズが小さめと巨大の二種類しかないのが難点で——小さい方は小さすぎるし、と思って大きい方を買ったら、大きすぎていつも頭に当たる事態にまで発展してしまいました。よく言えば、存在感は抜群です。

AKARI 1Nはこんな人におすすめ

ここまでを踏まえて、AKARI 1Nが刺さるのは次のような方だと思います。

  • 比較的手に入りやすい価格で、名作照明を手に入れたい人
  • 北欧風と和風の合いの子「ジャパンディ」スタイルが好きな人
  • 日本の伝統的な高い技術を、暮らしのなかで身近に感じたい人

逆に、明るさや機能性だけで照明を選ぶなら、他に合理的な選択肢はいくらでもあります。AKARIの価値は、光の質感と、そこに宿る来歴にこそあるからです。

また、ペットや小さなお子さんがいる家庭、毎日ロボット掃除機が動く家では、置き場所に少し注意が必要です(詳しくは上のデメリットで触れました)。

まとめ——日本の血を引く巨匠が、日本の素材で作った光

外国で生まれ育った、日本の血を引くイサム・ノグチさんが、日本の技術と素材で作ったこの照明が、いま世界のインテリア好きに愛されている。この事実には、何とも言えないロマンがあるように感じます。2万円台から、その物語ごと部屋に迎えられるのですから、良い買い物でした。

余談ですが、ニューヨークにはノグチの美術館(The Noguchi Museum、クイーンズのロングアイランドシティにあります)があり、そのショップにはAKARIの在庫が豊富で、日本国内では取り扱いのないものも売られているそうです。一度は行ってみたいものです。

和紙というものは、北欧のデザイナーの心にも留まるものがあるようです。LE KLINTという北欧の名門照明ブランドも、和紙と折り紙に着想を得たシェードの照明を多数生み出しています。私が使っているSnow Dropもその一つ。こちらも、また別の機会に紹介します。

イサムノグチ AKARI 1N

イサムノグチ AKARI 1N

兄弟機種 よりオーソドックスな1Aはこちら

イサムノグチ AKARI 1A

イサムノグチ AKARI 1A


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